あれやこれやがあって、鎧の身体だったアルフォンス・エルリックは、元の生身に戻った。
…のは良いのだが。
「アル。」
「何?兄さん」
「どうしてお前はそういっつもくっついてくるんだ?」
「兄さんに触ってたいからだよ?」
「そっか。」
ほわんととろけるように鋼のが笑う。
「仲が良いですねえ」とのんびりした声でフュリー曹長が言う。そう言う問題じゃない。
発火布はどこにしまったか。引き出しを探そうとしたら「先にこの書類の処理を終わらせて下さい」と中尉に釘を刺された。
「でもな、ちゃんと時と場所とを考えろよ。ここは軍部内なんだから。」
よく言った、鋼の。
「あそこでテンパってる大佐に怒られるからな。」
いやそれはしつけとしては間違った叱り方だぞ鋼の。と言うかそんなキャラメルの如き口調では叱っている内にも入らない。
「でも大佐がテンパってるのは自分でお仕事溜めてのことだよね。自業自得じゃないかな。」
「アルフォンス君、それは正しい認識だけどだからこそ本人も傷つくわ。」
「中尉、それフォローになってないっす。」
「と言うかそう言う問題ではない!」
ばんっ、と強く机を叩く。
「じゃーなんだよ一体。わざわざ人のこと呼び出しておいて。」
鋼のは弟に抱きつかれたまま不満そうな顔でこちらを睨め付けた。
「君は、この状態に何か言うべき事があるだろう!?」
「何が?」
「何がじゃない、何がじゃ!」
ばんばんばん、と机を連打する。手がじんじんと痛むが今は気にしないことにする。
「さっさと私を元に戻さないか!」
ゆさゆさと胸が揺れた。…大きいから肩が凝ってしょうがない。
(そう訴えたら「それは俗説です」と中尉にはばっさり切って捨てられた。じゃあこの肩の凝りは何だ。)
今現在、私ロイ・マスタングは何故かどういう訳か『性別:女』だった。
心当たりと言えばエルリック兄弟の人体錬成に立ち会ったことしかない。
「え、無理。」
さらっと元凶は言ってのけた。
「それって元に戻すとなると根本的に作り替えなきゃならないみたいなんだよな。
となるとまた人体錬成するのと同じようなもんな訳だからさ」
「ならさっさとやれ、ますます君しか元に戻せる人間はいないと言うことだろう?」
「人体錬成のリスクの高さは大佐だって知ってるだろ?オレもうあんなのやりたくない。」
アル以外の奴のために命かけたくないし。そう付け加えた兄を弟はますます強く抱きしめる。
「ボクももう兄さんに危ない真似はさせたくありません!」
「本当に兄思いな奴だなあ」とブレダ少尉が呟く。だからそう言う問題じゃない。
「別に生きてくのに支障はないだろ?ならいいじゃん、そのままでも。」
「良くない!」
「寧ろ上層部を籠絡出来そうっすよね。」
余計なことを言うんじゃない、ハボック少尉。
確かにこのFカップの豊満な胸に見事な肉付きの尻ならいけるかもしれんと思ったことは認めよう。
だが男にしかも親父どもにもててもちっとも嬉しくも楽しくもない!
まず何より女性とデートが出来んじゃないか!
そんな私の苦悩を察したのか、ホークアイ中尉がそっと思いやり深い眼差しで口を挟んだ。
「…大佐。」
ああ分かってくれるのか中尉。
「合わない下着を着けると形が崩れますよ。」
がっくりと全身の力が抜けた。
「女の人って大変なんだなー」
心から感心したような鋼のの声が聞こえた。そう思うなら替われ。今すぐ替われ。

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