猫が国家資格を取得したという通達が出されてまもなく。
大総統閣下は大の猫好きだという噂が瞬く間にアメストリス全域に広まった。
すると上に阿ろうとするものはどこにでもいるもので、どこそこの品評会で賞を取った猫だとか古代にまでさかのぼる血統書付の猫だとかを差し出す者が次々と現れた。
ふかふかのクッション付の金の篭に入れられた、つやつやした毛皮の猫たちの長々しい説明が延々と続く。。
たまたままだ中央にいたエドワード(大総統側近に見付かり直ちに捕縛の後丁重にご招待を受けた)は少し面白そうに彼らを見ていた。
何にでも好奇心旺盛に向かっていく活発な金の子猫と、檻の中でも安穏と過ごす猫たちはまるで違う生き物に見えてくるから不思議なものだとブラッドレイは説明そっちのけで観察していた。
格子越しに何かのにおいを嗅ぐようにしばらくは篭の側をうろちょろとしていたが、直に飽きたのか大総統の座る椅子の肘掛けにひょいと飛び乗った。
「もう良いのかね?」
ぺたりと耳を伏せて目を眇める。
「あの…閣下?」
蕩々と説明していたどこぞの軍人が、それでようやく大総統が話など聞いていなかったと言うことに気付いて慌てた。
「エドワードの遊び相手にでもなればと思ったが、どうやら相性が良くないようだ。」
連れて帰りなさい、全部。にべもなく大総統閣下は言う。
「まあ、収穫もあったから全くの時間の無駄にはならなかったのが不幸中の幸いだったな」
「はぁ…」
それを聞いて軍人の少し顔色は明るくなったがしかし。
「やはりエドワードが一番可愛いな、間違いなく」
飼い主バカ炸裂だった。
子猫は「ぐなあ」と低くうなって国家最高権力者の腕を尻尾で軽く叩いた。

「と言うことがあったそうだぞ」
後日親友経由でその話を聞いた東方司令部の大佐は胸を張って言い切った。
「当然だ」
「…お前、そんなに猫好きだったか?」
大総統閣下もそうだが、とヒューズは首を捻った。
大総統にしろマスタングにしろ、猫より犬派だとばかり思っていたがいつの間に宗旨替えしたのだろうか。
「考えても見ろ。そこらの人間より賢くてうるさくなくて聞き分けが良くてしかも義理堅い猫だぞ?」
「ついでに義侠心もあれば度胸もあるな。」
「忠誠心など望むべくもないがそれを補ってあまりあるだろう」
猫族全体ではなく、エドワードという個体に関してのみに言えることだがな、と付け加える。
確かにそうだな、と頷いていると追い打ちが来た。
「しかもあれはサイズが手頃で撫で心地が良いんだ、他のどの猫よりも」
やはり猫バカだった。

子猫一匹に籠絡された軍って大丈夫なんだろうか、と密かに中佐は危惧した。

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