「女の子にもてたいんですけど、どうしたらいいんでしょうね」
やや重たげな溜息と共に鎧姿のアルフォンス・エルリックは呟いた。
「そりゃ世の男性の永遠のテーマだな。」
重々しくブレダが頷く。
ここで間違っても「もててどうするんだ」などと野暮なことは言わない。
むしろアルフォンス・エルリックもそう言う年頃なんだ、とお兄さん達は感慨深い。
ならばここは一つ親身になって相談に乗ってやるのが正しい年長者のあり方だろう。
だが、それはそれとしてハボックはやや腑に落ちないものを感じた。
「アルがそんな事言うのは意外だな」
「そうですか?」
ちょこんと首を傾げる。
「お前さんのこったから、大将にモテてればそれで良いとか思ってそうだったから」
「ああ、それはもちろんそうなんですけど。」
もちろんなのか。思わずブレダは空の彼方へと心を馳せた。
「もしボクが女の子にもててたら、兄さんも焼き餅とか焼いてくれないかなって思って。」
少し照れたようにアルは言う。
「焼き餅…大将が?」
「…エドの場合、それ以前の問題のような気がするんだが…」
夢見がちだな、少年。すんでの所でそんな本音を呑み込む。
「そうなんですよねー…そこが問題なんですよね」
問題はそこだけではないはずだ。だが大人なので敢えて指摘はしない。
「まず兄さんに女の子の自覚を持ってもらう所から始めないと」
「そりゃ遠大な計画だな」
ある意味人体錬成よりも難しいんではなかろうか。
一般人である少尉二人は錬金術師の意見も聞いてみたいと思ったが、今現在身近にいるのはこの目の前の悩める青少年とその姉と上司の三人だ。
間違いなく適切な回答は得られない。
「いやいや、逆もあり得るぞ。アルフォンスが女の子にモテてるのを見て、言いしれぬもやもやっとしたものが胸の内に浮かんでくるかもしれん。」
「おおっそれで『これは何…?もしかしてこれが嫉妬というものなの…?』と来て、新たな自分を発見する訳か!」
「そうそうそう!で、何とかアルの気を惹くために色々と葛藤したり女の子らしくしたら良いかもと思うかもしれん!」
「良しそれだ!」
野郎が3人で妙な盛り上がりを見せた。
この時、たまたま通りかかった中尉の感想は「いつの時代の少女小説ですか。」だった。
後から聞かされた国家錬金術師の感想はもっと簡潔で、「バカ?」の一言だった。
幸いなことに、この時点でその現実を彼らが知ることはない。
「で、モテるにはどうしたらいいんでしょうね?」
アルフォンスが初めの問いに戻った。
「…あ。」
「……そうだな、永遠の問題だな。」
解決される日が来るのかは、誰も知らない。

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